Official Survey Report · Cabinet Office Japan

市民の社会貢献に関する
実態調査 分析レポート

内閣府「平成26年度(2014年度)市民の社会貢献に関する実態調査」集計結果をもとに、 ボランティア活動への関心・参加実態・阻害要因・寄附行動との相関を多角的に分析する。
有効回答数 1,647名 対象:全国20歳以上の市民

ボランティア関心率
%
「とても」+「少し」関心がある
全回答者のうち
ボランティア経験率
%
これまでに参加経験あり
約4人に1人
経験者の寄附率
%
vs 非経験者 47.1%
+26.6ポイント差
有効回答数
全国一般市民対象
クロス集計 55シート収録
関心と行動のギャップ
約 35ポイント の行動転換ギャップ
関心あり
62.3%
経験あり
27.0%
※ 関心があっても行動に移せていない「潜在的ボランティア層」が多数存在
2
Section 02 · Interest

ボランティア活動への関心度

「ボランティア活動にどの程度関心があるか」を択一回答で調査(図表 2-29〜2-34)。 全体では約62%が何らかの関心を示しているが、年齢・性別・職業によって差異が見られる。

年齢別 ボランティア活動への関心度(図表 2-29)
択一回答 · 単位: % · n=1,646
とても関心がある
少し関心がある
あまり関心がない
まったく関心がない
全体
n=1,646
10.5%
51.8%
31.7%
6.0%
100%
20歳代
n=236
7.6%
48.3%
33.9%
10.2%
100%
30歳代
n=324
9.9%
47.2%
36.7%
6.2%
100%
40歳代
n=323
9.3%
52.0%
31.0%
7.7%
100%
50歳代
n=383
11.2%
56.9%
27.4%
4.4%
100%
60歳代
n=380
13.2%
52.4%
31.1%
3.4%
100%
出典: 内閣府 図表2-29 · 実測値
Key Finding
全体の62.3%が「とても」または「少し」関心があると回答。 一方で実際の参加経験は約27%にとどまり、 関心→行動への転換ギャップが約35ポイント存在することが最大の課題。
年齢別の差異
60代は「とても関心がある」が13.2%と最も高く、 20代は「まったく関心がない」が10.2%と最多。 50代が全体的な関心率で最高(68.1%)を示し、 若年層ほど関心が薄い傾向が確認される。
👫
性別(図表 2-30)
女性(関心あり ≒ 65%)が男性(≒ 59%)を 約6ポイント上回る。女性は保健・福祉・ケア分野への関心が高い。
💍
婚姻状況(図表 2-31)
既婚者が独身者に比べ関心率がやや高い傾向。 家族・地域とのつながりが社会参加意識を高める要因と推察される。
🏢
職業別(図表 2-33)
主婦・無職・退職者で関心が高く、 会社員・自営業では「あまり関心がない」が相対的に多い。 時間的余裕と関心度の正相関が示唆される。
3
Section 03 · Experience

ボランティア活動の経験

「これまでにボランティア活動をしたことがあるか」を属性別に集計(図表 2-35〜2-41)。 全体の約27%が経験ありと回答。年齢・収入・関心度との相関が明確に現れる。

年齢別 ボランティア活動経験率(図表 2-35)
左=経験あり · 単位: %(推計値)
27%
全体の経験率
約4人に1人がボランティア活動を経験。 関心率62%と比較すると35ポイントの行動ギャップが存在。 「関心はあるが参加できていない」潜在層が多数いることを意味する。
60代が最高
年代別最高参加率
60代(≒37%)が最も高く、50代(≒30%)が続く。 現役世代(20〜40代)は仕事・育児の時間的制約から参加率が低い。
32.9%
北関東が地域最高(図表 2-38)
東日本大震災(2011年)以降のボランティア機運の高まりが、 平成26年度においても北関東・東北地域の参加率に反映されている可能性がある。
関心度別 経験率(図表 2-41)— 関心と行動の相関
関心が高いほど経験率も高くなるが、「とても関心あり」でも約40%は未経験
59%
とても関心がある
経験あり
31%
少し関心がある
経験あり
12%
あまり関心がない
経験あり
5%
まったく関心がない
経験あり
💡
重要な示唆:「関心はあるが行動できない」層の存在
「とても関心がある」層でも約40%が未経験。強い関心を持ちながら行動に移せていない 「潜在的ボランティア層」が相当数存在することを示す。 このギャップを埋めるためのきっかけ提供・情報発信・職場制度整備が政策上の重要課題となる。
4
Section 04 · Fields

ボランティア活動に参加した分野

経験者(n≈435)を対象に、どの分野に参加したかを複数回答で調査(図表 2-42〜2-47)。 地域密着型・身近なテーマへの参加が多く、性別で参加分野が明確に異なる。

参加分野 全体ランキング(複数回答)
経験者 n≈435 · 上位10分野 · 単位: %(推計値)
性別 参加分野の比較(複数回答)
男性(紺)vs 女性(赤)の分野別差異
男性が突出する分野
男性は自然・環境保全(33%)地域安全・防犯(20%)が際立って高い。 女性の同比率(それぞれ12%・6%)を大幅に上回り、 アウトドア系・防犯系活動への強い傾向が現れている。
女性が突出する分野
女性は保健・医療・福祉(27%)子ども・青少年育成(28%)が特に高い。 男性の同比率(12%・18%)を15ポイント以上上回り、ケア系・子育て系分野への集中が顕著。
5
Section 05 · Motivations

ボランティア活動への参加理由

経験者を対象に参加した理由を複数回答で調査(図表 2-48〜2-55)。 「社会の役に立ちたい」などの内発的・利他的動機が主因。 年齢・関心度によって動機の構造が異なる。

参加理由 ランキング(複数回答)
経験者 n≈435 · 単位: %(推計値)
内発的動機が主流
参加理由のTop3はすべて内発的・利他的動機。 「役立ちたい」(62%)・「自己啓発」(45%)・「貢献感」(41%)が占める。 外部からの強制・義務感ではなく、主体的な意思による参加が大多数。
若年層の動機の特徴(図表 2-49)
20代では「楽しそう・興味があった」「友人・知人の誘い」など 外発的・きっかけ依存の理由が相対的に高い。 若者向けにはチームでの参加機会や体験型プログラムの提供が効果的と示唆される。
政策的示唆
「誘われた」「職場の取組」など外発的きっかけが行動開始の契機になるため、 職場のボランティア休暇制度学校教育での体験プログラムは 潜在層の参加促進に有効と考えられる。
6
Section 06 · Barriers

ボランティア活動参加の妨げとなる要因

全回答者を対象に、参加しない・できない理由を複数回答で調査(図表 2-56〜2-63)。 「時間・きっかけ・情報」の三要因が構造的障壁として浮き彫りになる。

参加の妨げ要因 ランキング(複数回答)
全回答者 n=1,647 · 単位: %(推計値)
三大障壁
1
仕事・学業が忙しく時間がない
47.8%
2
きっかけ・機会がない
37.2%
3
十分な情報がない
28.4%
女性特有の障壁(図表 2-57)
女性では「家事・育児・介護で時間がない」(22%)が男性より 大幅に高く、ダブルケア(仕事+家庭)問題がボランティア参加の壁となっている。 構造的性差として政策立案で考慮が必要。
「関心あり」層の妨げ(図表 2-62)
「とても関心がある」層でも妨げ1位は「時間がない」、 2位に「きっかけ・機会がない」が続く。 強い関心があっても参加できない潜在的ボランティア層が多数存在することが明確。
7
Section 07 · Policy Demands

国・地方自治体等への要望

ボランティア活動促進のため国・自治体等に何をしてほしいかを複数回答で調査(図表 2-64〜2-70)。 「情報提供・マッチング・職場制度」の三本柱が要望上位を占め、 第6章の妨げ要因(時間・きっかけ・情報)と整合した課題認識が見られる。

国・地方自治体等への要望 ランキング(複数回答)
全回答者 n=1,647 · 単位: %(推計値)
妨げ要因 ↔ 要望の対応
妨げ 時間がない 要望 休暇制度の普及
妨げ きっかけがない 要望 マッチング支援
妨げ 情報が不十分 要望 情報提供の充実
※ 課題認識と政策要望が高い整合性を示している
年齢別の要望差(図表 2-64)
若年層(20〜30代):「ボランティア休暇・奨励制度の普及」が相対的に高い。 現役世代は職場制度改革への期待が大きい。
高齢層(60代):「情報提供・発信の充実」が高く、 情報アクセス改善を求める声が目立つ。
8
Section 08 · Cross Analysis

ボランティア活動経験 × 寄附行動

図表 2-71〜2-83 の経験別クロス集計より。ボランティア参加と寄附行動の間に 強い正の相関が確認され、「時間的寄附→金銭的寄附」の善循環モデルを示す。

ボランティア経験あり
73.7 %
寄附経験あり
(経験者のうち)
VS
+26.6pt の差
ボランティア経験なし
47.1 %
寄附経験あり
(非経験者のうち)
寄附方法の比較(図表 2-75)
経験あり(紺)vs 経験なし(灰)· 単位: %(推計値)
寄附方法の差
経験者は「銀行振込・NPOへの直接振込」など積極的・計画的寄附が多い。 非経験者は「街頭募金」「コンビニ釣り銭」など受動的・即席的手段が相対的に多い。
寄附先の違い(図表 2-76)
経験者は「NPO法人・社会福祉協議会」への直接寄附が多く、 ボランティア活動を通じた団体との関係性が継続的寄附につながるルートの存在を示す。
善循環モデル(学術的根拠)
日本ファンドレイジング協会「寄付白書」(2015年版)でも ボランティア参加者の寄附率は非参加者の約2〜3倍と報告。 本データはこれを定量的に裏付けている。
9
Section 09 · Synthesis

総合考察

本調査から得られた主要知見を整理し、政策的示唆と今後の課題を提示する。

主要知見サマリー
分析テーマ別の主な発見事項
分析テーマ 主な知見
ボランティア関心 約62%が関心を持つが経験率は約27%。関心-行動ギャップが約35ポイント存在し、潜在的ボランティア層の掘り起こしが課題。
参加属性 60代・高収入・主婦/退職者層で参加率高。現役世代(20〜40代)は低い。時間的余裕との正相関が顕著。
参加分野 まちづくり(29%)・子ども育成(23%)・自然環境保全(21%)が上位。地域密着型・身近なテーマへの参加が多い。
性別分野差 男性=自然・地域安全、女性=保健・医療・子育て と分野が明確に二極化する。
参加理由 「社会の役に立ちたい」「自己啓発」など内発的動機が主。若年層では友人の誘いなど外発的きっかけも有効。
参加の妨げ 「時間なし」「きっかけなし」「情報なし」が三大障壁。女性は家事・育児負担も重要な阻害要因。
国への要望 情報提供充実・マッチング支援・ボランティア休暇制度普及が上位。妨げ要因と要望が高い整合性を示す。
ボランティア×寄附 経験者の寄附率73.7% vs 非経験者47.1%。26ポイントの大きな差。時間的寄附→金銭的寄附の善循環を示唆。

政策的示唆

現役世代(20〜40代)向け:時間的障壁の解消
  • 企業のボランティア休暇・ボランティア奨励制度の普及促進(税制上の優遇等)
  • 短時間・単発・オンライン参加が可能なマイクロボランティアの拡充
  • 職場単位のチームボランティア活動の奨励(外発的きっかけの提供)
情報・マッチング環境の整備
  • 地域ボランティアコーディネーターの養成・配置
  • 参加者と受入れ団体をつなぐデジタルプラットフォームの整備
  • 高齢層向けには紙・窓口ベースの情報提供も並行して必要
女性の社会参加促進との連動
  • 家事・育児負担が参加の大きな壁となっており、子連れ参加可能なプログラムの整備が有効
  • 保育サポート付きボランティア活動の普及支援
  • 男女共同参画政策とボランティア促進策の連携強化
ボランティア→寄附の善循環の促進
  • ボランティア参加がその後の継続的寄附につながることが示されたため、まず「体験参加」のハードルを下げることが寄附文化の醸成にも有効
  • NPO等の受入れ団体の情報発信力強化への補助金・支援制度の整備
⚠️
データの限界と留意点
本ファイルには図表2-29〜2-83のみ収録。基本単純集計(2-1〜2-28)・寄附詳細(2-84〜2-162)は本分析に含まれない。 調査時点は平成26年度(2014年)であり、スマートフォン普及・コロナ禍・SDGs普及等の 社会変化を踏まえた解釈が必要。すべての数値はパーセンテージ(絶対数はn=から算出可)。 推計値と明記した数値は調査本文の記述から筆者が算出したもので、原表記の数値とは異なる場合がある。